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大震災

上京する予定を一日延ばした事で 今回の地震には合わずに済みました。
現地の惨状が放送されてからは テレビの前から動くこともできず、ただただ時間ばかりが過ぎていきました。
とても練習する気になどなりません。
直後は連絡がとれず心配した親戚・知人は皆無事。
普段と何も変わらず平穏に過ごす事ができている自分は、このままでいいのだろうか? 被災した方々の為に一体何が出来るのだろうか?
幸い暖かかった昨夜は、暖房をつけずに過ごしました。
毎日何となく車で行っていた買い物はやめて、昨日はあるもので食事を済ませました。ガソリンも足りなくなるとか…
いつもは車を使う場所に 今朝は歩いて往復しました。
これからはもっと賢く頭を使って生活していかなければ。
大きな行動を起こさずとも、自分なりの心がけ次第で それが今回被災され困っている方へ少しでも還元されるものと思います。

トム・ディーバーさん

直前まで記録的な豪雨と報道されていた昨日のトムさんのお別れの会は、皆が集まっていたその時間だけは晴れ間も見える程穏やかとなり、誰にでも心の底から優しかったトムさんの最後の心遣いではなかったかと思わされました。
古い民家を長年こつこつと自分で手直しをしながら住み続けたそのお宅に 入りきれないほどの参列者。
その建物のそこかしこに 私も思い出を残しています。
雪の日 初めて伺った時の薪ストーブの温かさ。建て増ししたのであろう二階の尺八づくりの作業場にお箏を運びあげて 何の曲を合奏したのだったか…。ブルーベリーの夏、外国から収穫の手伝いと尺八の勉強で来ていた若い男の子に 六段の合奏をしてあげましたっけ。他にも泊まり込みのアジアの女性の作ったカレーをご馳走になったこともありました。
昨日は一日 トムさんのことで私の心の中頭の中はいっぱいで、気がつくと、映画かドラマのラストシーンのように、彼のいろんな様子を思い出して、波が打ち寄せるように 限りなく涙が溢れました。
目を瞑って棺に納められたトムさんは お人形のようでした。
25年 丹精込めて育てたブルーベリーは、ちょうど今収穫の時期。大きくて甘いその実を きのうは皆でいただきました。
そして、世界のあちこちで 研究熱心な彼が丁寧に作り上げた尺八は吹かれている。彼は 始めて出会った時の尺八の音をずっと追い求め続けてきたそうです。
良い人生だったことでしょう。私も出会えて光栄でした。
「コズエサーン ゲンキー?」と時々電話をくれたトムさんの声が、今にも聞えてきそうです。
 

悲しみ

数えてみればもう20年近くのお付き合いになっていた 尺八製管師のトム・ディーバーさんが亡くなられました。
私が自分の道に迷っていた頃、さりげなくランチに誘ってくれたり、遊びに誘ってくれたりと 励ましてくれた方でした。
大事な部分を置き去りにして目先の新しさに惑わされていた時期の私に、日本の楽器の本質を示唆してくれたアメリカ人でした。
師と仰ぐ横山勝也さんのご自宅でのレッスンに 一度ご一緒させていただいたこともありました。
師の後を追うような彼の訃報に、私は自分の活動にかまけて、この1年半程彼の話し相手にもなっていなかった、何もお返しが出来なかったと悔やむばかりです。
一緒に演奏したたくさんの思い出が蘇ってきます。

合掌

季節は移ろい

お盆休みの最終日、夜 虫の声がする事に気付きました。
もう季節は秋に入っているのですね。
自然は正直、風も涼しくなりました。
昨日 以前長唄三味線のお稽古に通ってきて下さった方のご葬儀にうかがいました。戦時中の女学校の事、昔々のこの町の様子、ご家族みなさんのお話… お稽古の度に たくさん聞かせて下さいました。
わずか何年かのご縁とはいえ 楽しい思い出のお手伝いが出来たであろうことに安堵し またもうお会いできない事実に寂しくもなりました。お稽古を見て差し上げるとは 私を育てていただく事でもあったのだと感じました。ありがとうございましたと感謝申しあげたい思いです。
合掌 
 

若葉のころ

少しづつ柔らかく膨らんでいくさ緑あふれるこの季節が 若い頃から大好きでした。
ゴールデンウィークの喧噪が過ぎ ホッとしている穏やかな休日の朝です。
昨夜の満月はおぼろ月。日本は美しい。