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トム・ディーバーさん

直前まで記録的な豪雨と報道されていた昨日のトムさんのお別れの会は、皆が集まっていたその時間だけは晴れ間も見える程穏やかとなり、誰にでも心の底から優しかったトムさんの最後の心遣いではなかったかと思わされました。
古い民家を長年こつこつと自分で手直しをしながら住み続けたそのお宅に 入りきれないほどの参列者。
その建物のそこかしこに 私も思い出を残しています。
雪の日 初めて伺った時の薪ストーブの温かさ。建て増ししたのであろう二階の尺八づくりの作業場にお箏を運びあげて 何の曲を合奏したのだったか…。ブルーベリーの夏、外国から収穫の手伝いと尺八の勉強で来ていた若い男の子に 六段の合奏をしてあげましたっけ。他にも泊まり込みのアジアの女性の作ったカレーをご馳走になったこともありました。
昨日は一日 トムさんのことで私の心の中頭の中はいっぱいで、気がつくと、映画かドラマのラストシーンのように、彼のいろんな様子を思い出して、波が打ち寄せるように 限りなく涙が溢れました。
目を瞑って棺に納められたトムさんは お人形のようでした。
25年 丹精込めて育てたブルーベリーは、ちょうど今収穫の時期。大きくて甘いその実を きのうは皆でいただきました。
そして、世界のあちこちで 研究熱心な彼が丁寧に作り上げた尺八は吹かれている。彼は 始めて出会った時の尺八の音をずっと追い求め続けてきたそうです。
良い人生だったことでしょう。私も出会えて光栄でした。
「コズエサーン ゲンキー?」と時々電話をくれたトムさんの声が、今にも聞えてきそうです。
 

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