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池泉堂文化サロン

昨日は十六夜、お月見をしながらお筝の音色を楽しもうと企画された地域の皆さまの集まりで 演奏をさせていただきました。
前日からの雷と雨にやきもきしましたが、月こそ出ぬものの 予定の時間には雨も上がり、整えられたお庭 式台にはお月見のしつらい、襖を取り払ったお座敷にたくさんのお客様。
皆さんは 水を打ったような静けさで 私の演奏と話しに聴き入って下さいました。
曲を弾き終わったあとの静寂を 虫の音で我に返るような、濃密な時間だった気がします。
この催しを思いつかれた池泉堂文化サロンの酒井由美さんとは、まだこれを機に矢継ぎ早にお話をさせていただいただけなのですが、その真摯な生き方にたいへん感銘を受け 私は心安らぐ思いを抱きました。
富県福地の皆さま 素敵な時間をありがとうございました。

祭囃子

長野善光寺にほど近い桜枝神社祭礼。
練り歩く獅子頭につられ幌の後ろで右に左に、そして舗装道路とは言え場所によっては大きく揺れる小さめの屋台の上で、お囃子を延々弾き続けるという未知の体験は、なにやら異空間を漂っているような不思議な気持ちを起こさせ 静かな興奮を感じた2時間半でした。
始め 外の風に吹かれることで安定しなかった三味線に 瞬時に楽器を持ち替えて付き合って下さったお笛の百恭さんの細やかな心配り(音楽家としては当然のことですが)で とかく乱雑になりがちな祭囃子に命が吹き込まれた気がしました。
決して派手ではありませんが、氏子さんがずっと大事に守り継いできた これが本来あるべき姿の素朴で礼儀正しいお祭りではないでしょうか。
ご神体の桜姫さまも きっと喜んで下さったことと思います。 

超和楽梢花繚乱Ⅳ at 弥乃音HOUSE

9月10日 東京でのライヴを終えてきました。
30人膝詰めの弥乃音HOUSEは、こちらとしては緊張の、お客様にはワクワクの、素晴らしく音の良い空間でした。
ン十年ぶり 高校大学の同級生・かつての稽古場の同輩・OL時代の後輩・音楽仲間・親戚等々 久しぶりの顔合わせ。そこに新しい友人が盛り上がり…。
現在の私の信頼出来る仲間の協力によって 誰もが楽しめた一夜となったようです。
皆さんありがとうございました。
竹本彌乃太夫師匠 お騒がせしました。 

ロマネット寄席

金原亭馬生師匠をお迎えしての岡谷ロマネット寄席で 前座を務めました。色物として 三味線の弾き歌い。
落語縁の「ちょいと昔の事にて候」、端唄「有明の・縁かいな」、そして最後はお決まりの「仔猫」。
馬生師匠の出囃子「長唄七福神」も生演奏でお手伝い。
この日の師匠の落語の演目は、午前は「真田小僧」午後は「しびん」。
一席終えた後には どちらの会も「上げ汐」と「かっぽれ」を踊って下さって、会場は大盛り上がり。
楽しい一日でした。

十七回忌

昨日7月24日は 藤井凡大先生のご命日でした。
ちょうど「いしだ」の出演日でもあったので、ご子息の大史さんが以前 ソロ用にアレンジしてくれた「みちのくの」を演奏しました。
かつて邦楽器群と合唱の為に書かれたこの曲を、大史さんは 親父の原点であり また自分の作曲においても原点になったと思うと 私に語ってくれました。
私は直接には凡大先生を存じ上げませんが、大史さんにその人となりをお聞きする度、日本音楽界を支えた偉大な方だったのだなあ もうそのような感性で邦楽界を厳しく導いて下さる方は見当たらないと 残念に思います。